借り入れを活用する目的には大きく2つある
ひとつはキャッシュポジション(現金残高比率)を下げずに投資を行なえることで、もうひとつは借り入れコストよりも高い運用利回りを確保することで「てこの原理」が働くため、より大きく儲けることができる「レバレッジ効果」が生まれるのです。
では、借り入れが及ぼすマイナスの影響にはどのようなことが考えられるでしょうか。それは、「所得税効果を加味してもキャッシュフロー上、借金はソン」という点です。
借金をしている場合と借金をしてない場合、どちらも「収入」と「金利以外の経費・控除」は同額で、金利負担分だけ所得額に影響が出ています。借金をしている場合は建物分の金利が経費になりますから、所得額を引き下げる効果が出ます。
所得額が引き下げられた結果、負担する所得税なども減り、税金が安くなった分だけトクしたような気がします。ですが、両者の手残り額を比べてみると、借金をしていない場合のほうが、手残り額が多いのです。税金が安くなったのに、どうしてなのでしょうか?
税金額だけでなく資金収支全体で考えよう
それは、金利も税金もお金が出ていくことには変わりがないからです。支払先が金融機関なのか、国なのかという点は異なりますが、資金流出という点では他の支出項目と何ら変わりありません。
金利として支出した額に対して所得税が安くなる率は、所得税等の実効税率分だけです。この所得税が安くなる経費部分を専門用語では「タックスシールド」といいます。ここではシンプルに「税金の額だけではなく資金収支全体で考える」という形で理解しておきましょう。