インフレリスクヘッジとしての不動産投資
不動産投資が注目を集めるようになった理由
では、どうして不動産投資が注目を集めるようになったのでしょうか。
地価がようやく底入れをし、上昇へと転じてきたことも大きな要因です。
値ごろ感が高まり、外資系のファンドなどが積極的に日本の不動産を買い始めたのです。不動産投資信託の設定も増え、ファンドを通じて日本の不動産市場に資金が流れ込んできました。
大規模な再開発も行なわれるようになりました。東京都内だけでも、汐留や六本木、東雲、表参道など、枚挙に暇がありません。こうした再開発ブームも、地価の底入れに影響を及ぼしました。そして、地価の上昇は徐々に周辺地域へと広がっています。
それに先駆けて、地価が本格的に値上がりする前に、不動産を自分のポートフォリオに組み入れておこうという動きが出ても不思議はありません。しかも、REITの登場によって、個人でも手軽に不動産投資ができる環境ができてきたのですから、関心が高まるのも当然のことでしょう。
不動産は、インフレが進むと価値が上昇する傾向がある
このように、不動産投資の環境が整ってきたことに加え、インフレのリスクが浮上してきたことも、不動産投資への関心を高めました。
というのも、不動産投資には、インフレリスクのヘッジに適しているという特徴があるのです。お金を運用するにもいろいろな方法がありますが、たとえば個人金融資産の半分を占める預貯金の場合、インフレに弱い傾向があります。
インフレとはモノの値段が上がっていくことですが、そうなると、現金をそのまま持っていても全然増えないため、物価上昇によって相対的にお金の価値が目減りしていきます。
預貯金にしておけば、利息はつきますが、インフレのスピードが速いと、預貯金の利息では、物価上昇分をカバーするのが、心もとなくなります。この点、不動産に投資すれば、預貯金に比べてインフレに対するポートフォリオの耐性が高まります。不動産は、インフレが進むと価値が上昇する傾向があるからです。
モノの値段が上昇局面に入ると、それが値上がりする前に買おうとする動きが広まってきます。これは土地についてもあてはまります。その結果、インフレによってモノの値段が上昇するのに伴い、地価も上昇傾向をたどります。加えて、賃貸物件の賃料も上昇しやすくなります。
これはREITのように、ファンドに組み入れた物件から得られる賃料を配当に回すという仕組みを持つ不動産金融商品にとっては、プラスに働きます。ここ2.3年の経済情勢を見ると、原油や金属資源が値上がりするなど、徐々にデフレ経済からインフレ経済へと移行していきそうなけはいが漂ってきました。
それだけに、長期的な視野に立って資産をリスクヘッジするためにも、不動産投資を真剣に検討する必要があります。
それは、富裕層にのみ当てはまる話ではありません。一般の個人も、自分の資産をインフレから守るという意味で、真剣に不動産投資を検討する必要があります。